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Monarch Money とは?Mint 終了後に米国で定番の家計アプリは日本で使えるか

公開 2026-09-14読了 7 分

Photo: Polina Tankilevitch / Pexels

この記事でわかること
米国で Mint の移行先として定番になった家計アプリ Monarch Money。日本から使えるのか、Core と Plus の料金、手動口座での使い方、マネーフォワード ME との違いをまとめました。

米国で「Mint が終わったあと、みんなどこへ行ったのか」と聞くと、かなりの確率で名前が挙がるのが Monarch Money です。先に結論を書きます。執筆時点(2026 年 9 月)で、Monarch の提供地域は米国とカナダに限定されていて、日本の銀行やクレジットカードをつなぐことはできません。日本の App Store にもアプリのページは見当たりませんでした。それでもこの記事を書くのは、Monarch の作りが「日本の家計簿アプリに無いもの」をはっきり示していて、見ておく価値があるからです。

Monarch Money とは — Mint の元 PM が作った家計+純資産アプリ

Monarch は、銀行・クレジットカード・証券・ローンなどの口座をひとつの画面にまとめて、支出と純資産の両方を追いかける家計管理サービスです。公式サイトの言葉では「予算設定、支出追跡、将来計画を 1 つのアプリで」。連携先は 13,000 以上の金融機関とされています。

運営は 2018 年創業、サンフランシスコの Monarch Money, Inc.。共同創業者兼 CEO の Val Agostino 氏は、Intuit の家計アプリ Mint の初期プロダクトマネージャーだった人物です。その Mint は 2023 年 10 月 31 日に終了が発表され、2024 年 3 月 23 日にサービスを終えました。移行先として案内されたのは同じ Intuit の Credit Karma でしたが、こちらは信用スコア管理が本業で、予算機能はそのまま引き継がれませんでした。行き場を失ったユーザーが流れ込んだ先のひとつが Monarch だった、という流れです。

勢いは数字にも出ています。2025 年 5 月、Monarch は FPV Ventures と Forerunner Ventures が共同リードする 7,500 万ドルのシリーズ B を調達しました(評価額は報道ベースで約 8 億 5,000 万ドル)。Mint の終了発表後の 1 年で購読者が 20 倍になったという説明もありますが、これは CEO 本人の発言なので、その前提で受け取ってください。

機能の柱は 4 つです。純資産と日々のキャッシュフローを見る Track、生活に合わせて動かせる Budget、パートナーや専門家を追加料金なしで招ける Collaborate、目標と進捗を管理する Plan。ほかに全取引の一覧、サブスクの自動検出、カスタマイズできるレポート、AI アシスタントが用意されています。対応は Web・iPhone・iPad・Android、それに Amazon と Target の明細を取り込む Chrome 拡張機能です。

なお、以前の monarchmoney.com にアクセスすると monarch.com へ自動で転送されます(執筆時点で確認しました)。日本語の解説記事を探すと旧ドメインのままのものが多いので、覚えておくと迷いません。

日本から使えるか — 口座連携の壁は高い

使えない、と考えておくのが現実的です。

根拠は公式のダウンロードページで、iPhone 版・iPad 版について「Available in USA and Canada」と明記され、サービスの提供地域そのものが米国とカナダに限られています。私が日本の App Store で該当ページを開こうとしたところ、ページが見つかりませんでした。米国 App Store の情報は、価格は無料(App 内課金あり)、iOS 15.1 以降、サイズ約 97MB、カテゴリは Finance、評価は 5 点満点中 4.9 で 109K 件、バージョン 2.0.115。対応言語の欄は English のみです。日本語 UI は今のところありません。

そして最大の壁が口座連携です。Monarch の連携は Plaid・MX・Finicity といった北米向けの口座アグリゲーターを経由しています。ここに日本の銀行は入っていません。通貨も米ドルとカナダドルが前提で、円建ての資産を正しく扱う作りにはなっていません。つまり「アプリを入れさえすれば日本の口座がつながる」という期待は、残念ながら成り立ちません。

使い方 — 手動口座なら何ができるか

では日本在住だと完全に無意味かというと、そうとも限りません。Monarch には公式ヘルプで説明されている手動口座(Manual Accounts)の仕組みがあり、ID とパスワードを預けずに資産を登録できます。以下は公式ヘルプとサイトの説明をもとにした整理で、私が日本の環境で全機能を検証したわけではありません。

  1. Web 版(app.monarch.com)でアカウントを作る
  2. 口座の追加画面で、連携ではなく手動追加を選ぶ
  3. 残高を自分で入れる「残高追跡」か、保有銘柄を入れる「保有追跡」かを選ぶ
  4. カテゴリと予算を作り、取引を手で足していく

手動の投資口座は少し面白い作りで、銘柄のティッカーを登録すると価格は市場に合わせて自動更新されます。ティッカーが見つからない暗号資産や非公開株は、総額だけを手で入れる残高追跡にするのが公式の推奨です。ひとつ注意点があって、残高追跡か保有追跡かは口座を作ったあとに変更できません。変えたい場合は削除して作り直すことになります。

とはいえ、すべて手入力の家計簿にサブスク料金を払う意味があるかというと、正直なところ薄いと思います。日本から触るなら「米国の家計アプリがどういう画面設計をしているのかを見る」目的と割り切るのが妥当です。

料金 — Core と Plus、最初の 1 週間は無料

公式の料金ページには「Your first week is on us」とあり、最初の 1 週間は無料で試せます。あわせて、コード WELCOME で初年度 30% オフというプロモーションも掲載されていました(対象は年額の Core プランのみ)。

金額については、公式サイトが動的表示のため私が直接読み取れなかったので、米国 App Store の App 内課金欄に並んでいる項目をそのまま挙げます。月額サブスクリプション $14.99、年額サブスクリプション $99.99、そして上位の年額 Plus サブスクリプションが $199.99 でした(ほかに $15.99 の月額項目もあります)。公式の料金ページにも「Plus 階層に何が含まれるか」という FAQ 項目があり、2 段構成になっていること自体は公式にも確認できます。

年 $99.99 は、円換算すればおよそ 1 万 5,000 円前後。日本の家計簿アプリの感覚からすると、はっきり高い部類です。その代わりパートナーや専門家の招待は追加料金なしで、世帯単位で 1 契約という考え方になっています。

マネーフォワード ME や Zaim と何が違うのか

日本で同じ役割を担っているのはマネーフォワード ME や Zaim です。使える・使えないという点では、日本在住なら比べるまでもなく国内のアプリが正解になります。公式サポートの案内では、マネーフォワード ME の無料会員が連携できる金融関連サービスは合計 4 件まで。有料プランでも月あたり数百円台で、Monarch の年 $99.99 とは桁が違います。

では Monarch 側に見るべき点は無いのかというと、設計の思想がはっきり違います。ひとつは純資産が主役であること。日本のアプリは「今月いくら使ったか」から入るものが多い一方、Monarch はトップに純資産の推移が来て、支出はその内訳として扱われます。もうひとつが共有です。Monarch はパートナーや専門家を無料で招いて同じ家計を一緒に見る前提で作られています。私が日本のアプリを見る限り、共有は後から足された機能として扱われている印象が強く、ここは思想の差が出ているところだと感じます。

家計の考え方そのものを整理したいなら、アプリを乗り換えるより 本当の自由を手に入れる お金の大学 のような本を先に一冊読むほうが、結果的に早いこともあります。どのアプリを選ぶかは、そのあとの話です。

まとめ

Monarch Money は、Mint の元プロダクトマネージャーが作り、Mint 終了後の米国で定番になった家計・資産管理アプリです。執筆時点で提供地域は米国とカナダに限られ、日本の銀行は連携できず、UI も英語のみ、日本の App Store にページもありません。日本在住者にとっては「使うアプリ」ではなく「見ておくアプリ」です。純資産を主役に置く画面構成と、パートナーを無料で招ける共有の作りは、日本の家計簿アプリを選ぶときの比較軸としても役に立ちます。実用面では、マネーフォワード ME や Zaim を素直に使うほうが現実的です。

※ 本記事の情報は執筆時点(2026 年 9 月)のものです。料金・提供地域・対応言語は変更される場合があるため、最新の情報は公式サイトとアプリストアでご確認ください。

編集部(本業: IT) 日本からアカウントを作って実際に触ってから書いています。使えなかったものは、使えなかったと書きます。