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Pine AI とは?解約と料金交渉を AI が電話で代行するサービスは日本で使えるか

公開 2026-09-30読了 6 分

Photo: Ron Lach / Pexels

この記事でわかること
解約や料金交渉を AI が電話で代行する米国発の Pine AI。日本版 App Store の説明、日本の窓口で通用するか、料金体系、使う前の注意点を執筆時点の情報でまとめました。

サブスクの解約や携帯料金の値下げのために、サポート窓口へ電話して保留音を聞き続ける。その電話を AI が代わりにかけてくれるのが、米国発の Pine AI です。先に結論を書きます。執筆時点(2026 年 9 月)で、Pine のアプリは日本の App Store にも「Pine AI – 電話代行AIアシスタント」という日本語名で並び、説明文にはドコモ・au・ソフトバンクの料金交渉まで書かれています。ただ、公表されている実績の相手先は米国の通信会社ばかりで、日本の窓口でどこまで通用するかは私は確認できていません。

Pine AI とは — 電話・メール・Web 操作をまとめて引き受ける AI エージェント

Pine は、カスタマーサービスとのやり取りを丸ごと代行する AI アシスタントです。公式サイトが挙げる仕事は、サブスクの解約、請求額の値下げ交渉、苦情の申し立てと返金請求、各種フォームの入力、予約の確保など。ユーザーが音声かテキストで「この契約を解約したい」と頼むと、AI が相手企業に電話をかけ、メールを送り、必要なら Web サイトも操作して、終わるまで追いかけるという作りです。

運営は米パロアルトの 19Pine Corp.。公式の説明では 2024 年末に創業し、2025 年 1 月に正式公開されました。創業者の Stanley Wei 氏(CEO)と Vincent Sun 氏(CTO)は、ナスダック上場のリアルタイム通信企業 Agora の元幹部です。2025 年 12 月には Fortwest Capital などから 2,500 万ドルのシリーズ A を調達したと発表しています。

公式サイトには「利用者 15 万人以上」「交渉成功率 93%」「消費者のために累計 300 万ドル以上を節約」「利用者 1 人あたり平均 270 分の時間を節約」といった数字が並びます。いずれも会社側の発表(本人申告)で、第三者が検証した数字ではない点は押さえておいてください。

電話の相手に対しては、Pine の AI は「ユーザーの代理として動くバーチャルアシスタント」だと名乗るとされています(2026 年 5 月の米 SiliconANGLE の取材に対する会社側の説明)。人間のふりをして交渉するわけではない、ということです。

日本から使えるか — アプリは日本語対応、ただし実績は米国中心

アプリ自体は日本から普通に入れられます。日本の App Store のページを確認したところ、価格は無料(課金は後述)、対応は iOS 18.0 以降で、対応言語に日本語が含まれていました。評価は件数が足りず、まだ表示されていません。Android 版と Web 版もあります。

目を引くのは、日本版の説明文がはっきり日本向けに書かれていることです。「Softbank、ドコモ、auなどの料金プランをPineが交渉」とあり、平均で年 4 万 5,000 円の節約という数字も載っています(これも本人申告)。2026 年 5 月の報道でも、対応言語として英語と日本語が挙げられていました。

一方で、資金調達の発表で節約実績の相手先として名前が出ているのは AT&T、Verizon、T-Mobile、Charter、Cox、DISH といった米国企業です。調達資金の使い道も「米国での事業拡大」とされています。日本の携帯料金はプランごとに金額が決まっていて、電話一本で個別に値引きしてもらう余地は米国より小さい、と私は見ています。日本語で頼めることと、日本の窓口で結果が出ることは別の話です。

使い方 — 頼みたいことを話すだけ

以下は公式サイトとアプリストアの説明をもとにした流れで、私が実際に解約や交渉を依頼して確かめたものではありません。

  1. アプリ(または Web 版)でアカウントを作る
  2. 「◯◯のサブスクを解約したい」「ネット回線の料金を下げたい」などを、音声かテキストで伝える
  3. 契約者名やアカウント情報など、手続きに必要な情報を求められたら入力する
  4. Pine が相手企業に電話・メールで連絡し、進み具合と結果がアプリに届く

個人情報の扱いについて、公式は「通話には必要最小限の情報だけを、一時的に、承認を得たうえで使う」と説明しています。最初の一歩としては、いきなり携帯料金の交渉を頼むより、解約方法が分かりにくい海外サブスクなど、失敗しても困らない小さな用件で試すのが無難だと思います。

料金 — 表記がページごとに違うので申し込み前に確認

料金は、執筆時点で私が確認した限り、見る場所によって書き方が揃っていません。

  • 公式の料金ページ: 年額プランのみ表示。Plus が年 1,199 ドル(月換算 99.9 ドル)で毎月 20,000 クレジット、Max が年 2,099 ドルで 35,000 クレジット、Team が年 3,499 ドルで 60,000 クレジット。依頼ごとにクレジットを消費する仕組み
  • 公式の AI 情報ページ: 下位に Pro と Premium というプラン名もあり、Pro の月額プランでは値下げ交渉が成功したときに 25% の成功報酬がかかる(Pro の年額プランならかからない)
  • 日本の App Store の説明: 「節約できた金額の 10〜30%」を成功報酬として払う方式
  • 報道(SiliconANGLE): 無料枠は限定的で、有料プランは月 30 ドル前後から

年 1,199 ドルは日本円で十数万円になり、個人が数件の解約のために払う額ではありません。日本から使うなら、成功報酬型で使えるのか、月額なのかを、課金画面で必ず確かめてから進めてください。

注意点と、日本のサービスとの違い

使う前に気をつけたい点は 3 つあります。

ひとつ目は本人確認です。日本の携帯キャリアなどでは、契約内容の変更や解約で契約者本人の確認を求められることが多く、代理の電話では手続きが進まない場合があります。

ふたつ目は個人情報です。Pine に契約者情報やアカウント情報を預けることになります。公式は暗号化して本人しか見られない形で保管すると説明していますが、App Store のプライバシー表示では、連絡先情報や位置情報などを収集するとされています。何を渡すかは用件ごとに判断したいところです。

三つ目は、相手が AI との通話をどう扱うかです。AI だと名乗ったうえで話す以上、窓口によっては応じてもらえないこともあり得ます。

日本では、家計簿アプリのサブスク検出機能で「払っているものを見つける」ところまでは十分にできますし、Web のマイページで解約が完結するサービスも増えました。携帯料金を下げたいなら、交渉よりプラン変更や乗り換えのほうが確実です。Pine は、その先に残る「最後の電話」まで AI に任せたい人向けの道具といえます。なお、契約トラブルがこじれている場合は、消費者ホットライン(188)から消費生活センターに相談する方法もあります。

まとめ

Pine AI は、解約・値下げ交渉・返金請求といった電話とメールの手間を AI が引き受ける、米国発の AI エージェントです。日本の App Store に日本語名で並び、ドコモ・au・ソフトバンクとの交渉もうたっていますが、公表されている実績は米国の通信会社が中心で、日本の窓口での効果は未知数です。料金は表記が揃っておらず年額プランは高額なので、試すなら成功報酬の条件を確認し、失敗しても困らない小さな用件から始めるのがおすすめです。

※ 本記事の情報は執筆時点(2026 年 9 月)のものです。料金・対応言語・対応地域は変更される場合があるため、最新の情報は公式サイトとアプリストアでご確認ください。

編集部(本業: IT) 日本からアカウントを作って実際に触ってから書いています。使えなかったものは、使えなかったと書きます。